2009年12月08日

『ケーブル』と『コード』の話

一口に『電線』と言いましても、様々な種類の電線があるモノです。
よく聞く言い方として『ケーブル』『コード』『ワイヤー』と、判るような判らないような横文字がございます。
本日は割と質問の多い『ケーブル』と『コード』の違いについて見てみたいと思います。

まずは定義のハッキリした『ケーブル』から見ていきましょう。
『ケーブル』とは、導体に絶縁を施した絶縁電線を、更にシースで保護したモノの総称です。
『同軸ケーブル』『シールドケーブル』などを想像していただけると判りやすいかと思います。
いずれも絶縁された導体を複数本まとめたりシールドを巻いたりした上にシースを被せ、1本の電線としています。

同軸ケーブルシールドケーブル

中には電話用のケーブルや、LANケーブルのように複数の電線をまとめただけのモノもあります。

電話用ケーブルLANケーブル

また、特殊な例としてネオン管用ケーブルのように、ポリエチレンの絶縁体の上にビニルシ−スを被せているモノもあります。

これに対して『コード』ですが、コレがなかなかカッチリとした定義という物が存在しないようで、扱うメーカーや書籍によってマチマチだったりします。
『電源コード』や『スピーカーコード』、あるいは『イヤホンコード』など、何を基準に『コード』と名付けているのかサッパリ判りません。

そこでシリコンハウスの先人達が残した色々な文献を調べてみました。

で、行き当たった文言が
『コードは屋内で使用される小型の電気機器に使用されるモノであり、電源コードには差し込みプラグを取り付けて使用される。(中略)いずれも電気用品取締法の適用をうけ、この技術基準に基づいている。』
と言うモノでした。
これはフジクラ電線が発行している『電線概要 〜絶縁電線・巻線編〜』からの引用です。

フジクラのお告げ

そう言えば製品名に『コード』と付いているのは家庭用電気機器から伸びているような電線ばかりです。『コード』と呼ばれる電線が『電気用品取締法』の適用をうけ、そこに縛られるモノであれば、様々な謎が氷解致します。

例えば構造上は『ケーブル』の範疇に入るのに、製品名が『コード』となっている『VCT系電線』いわゆる『キャブタイヤコード』。

キャブタイヤコード

これも本来の用途は『小型電気機器の配線および電源コードに使用』することなのです。
だから見た目『ケーブル』でも、分類上『コード』になるわけです。

同じような例で、楕円形のキャブタイヤコード『VCT-FK』と、ほとんど同じ構造のビニル絶縁ビニルシースケーブル『VVF』。

コチラは『コード』コチラは『ケーブル』

かたや『コード』、かたや『ケーブル』。いったい何が違うのか。
『コードの方は撚り線である』と答えた方、半分正解。
では何故撚り線だと『コード』なのか。
それは、小型機器の電源コードに使用するため、柔らかくないと使いにくいからなのです。
つまり『撚り線だからコード』なのではなく、『コードだから撚り線である』と、『柔らかいからコード』なのではなく、『コードだから柔らかい』のです。
注意しなければいけないのは、柔らかい電線全てが、撚り線導体の電線全てが『コード』ではないと言うことです。

まとめると、『コード』とは、電気用品取締法の適用をうける小型電気機器の電源用に使用される電線のこと。と言うのが私なりの結論です。
つまりキャブタイヤコードや家電製品の電源コードとしてよく見かける『VFF』、内部配線などに使われる『VSF』なども『コード』に分類されます。

ビニルコード(複芯)ビニルコード(単芯)

ちなみにスピーカーコードの場合、メーカーの商品名を見るとほとんどが『スピーカーケーブル』と表記されております。
シリコンハウス店頭にある赤黒のスピーカーコードは製品名は『VFF』でして、色が違うだけで使用その他は電源コードの『VFF』と変わりません。

スピーカーコード

なお、この『ケーブル』と『コード』の定義付けはあくまで製品の分類のためであって、個々の商品名にまで言及するのは筋違いだと考えております。
私自身は『ケーブル』だの『コード』だのはどちらでもいい、伝わればそれでいいと考えております。
皆様もあまり原理原則に縛られず、正解だけを求める様な事はせず、柔軟に対応して頂ければ幸いです。

<記事:伊東>

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