2011年06月23日

LEDライトの選び方 〜その1:明るさのはなし〜

先の大震災以来懐中電灯の需要が増えまして、中でもLEDライトに関心が集まるようになりました。
従来の電球式懐中電灯は大きな電池を何本も使わなくてはいけなかったり、そのため本体が大きくなりすぎて、気が付くと押入れの奥のほうに追いやられていたりと肝心な時に使えない事があったようです。
その点LEDライトは小型で使える電池の種類も多岐にわたり、大型の投光機然としたものから携帯のストラップのような小型の物まで選択肢が広く、目的に応じて手軽に機種を選ぶ事ができます。

シリコンハウスでは現在30種類以上のLEDライトをそろえておりまして、ご来店いただいたお客様の中にはどれを選べばいいのかわからないといわれる方もいらっしゃいます。

ずらりと並んだLEDライト達

と言う訳で本日は。
いつもと趣向を変えまして『LEDライトの選び方』と題して数あるLEDライトをどう選べばいいのかを解説していきたいと思います。

第一回目の今回は、巷で諸説飛び交うLEDライトの明るさについて見ていきたいと思います。
なお、私は専門家でも研究者でもありませんので細かいところで間違えていることもあるかと思います。
そんな時はコメント欄などに補足説明など入れていただけましたら幸いです。
はい、前言い訳完了。

さて、一般的に明るさを表す単位としましては、『光度(単位:カンデラ)』『光束(単位:ルーメン)』『照度(単位:ルクス)』の3種類がございます。
LEDは明るさを『光度』で表すのが一般的です。しかしそれがライトに変わると『光束』で表すようになり、LED電球などの照明器具になると『照度』で表したりもします。それぞれいったいどういう意味合いで使われているのでしょうか。

明るさに関しては光束のみLED電球のスペック表記

まず『光度』から見ていきましょう。

『光度』はLEDの明るさを表す単位として良く出てきますが、その定義は『ある方向の立体角あたりの明るさ』なんだそうで、単位は『カンデラ(cd)』を使います。この数値が大きいほど光が強いと言うことになります。
しかし以前は『輝度○○mcd』などと言っていたのにいつから『光度』と言うようになったんですかね?今となっては『高輝度LED』という呼び方に名残が見られるくらいです。

LED売場の様子

さてこの『光度』はLEDを真正面から見たときの光の強さを表しておりまして、『光度』はLED自体の明るさだけでなく取り付けられているレンズによっても変化します。
例えば同じ素子のLEDでも指向角が変われば光度も変わります。

指向角の違いで明るさも変わる

ザクッと言ってしまえば、この『光度』というのはLEDの最も明るいところの強さと解釈すればいいのではないかと。

なぜそんな局地的な強さのみでLEDを評価するのかといいますと、元々LEDというのは表示器用に発展してきました。
今でこそ照明としても使われるようになりましたが、今でも主な用途は電光掲示板のドットやパイロットランプ等が多く、その性質上光っている事が認識できれば良かったのです。
つまり真正面から見たときの光具合が肝要だったわけで、そのためLEDの明るさを表すのに『光度』を用いたという事らしいです。
と言う訳で、物を照らす事が目的のLEDライトでは『光度』は使われないのです。


では続いて『光束』について見ていきましょう。

『光束』はLEDライトなど照明としてのLEDでよく使われており、単位は『ルーメン(lm)』で表されます。
照明に使われる『光束』の場合、光源から出ている総ての光の量を表す事が一般的です。ですから『全光束』という言い方のほうが判りやすいかもしれません。
『光度』は光源のある部分の強さを表すのに対し、『光束』は光源の総合的な強さを表しています。つまり光源であるLEDがどれだけ光を出せるかを表していると言えます。
当然『光束』が多いほどライトの出す光の量は多くなるのですが、それがイコール明るさではありません。
これはフリーフォーカスタイプのLEDライトを使ってみるとよく判るのですが、同じ光束でも照らす範囲を広げれば暗くなり、絞れば明るくなります。
ホースから水を出す時、水の量は同じでもホースの口を絞った方が水の勢いが強いのと同じことです。
LEDライトの光束が多くてもレンズなどの集光具合によって実際の明るさは左右されるというわけです。

光束差は2倍

先日紹介しましたXML-T6搭載のLEDライトで、光束が少ないライトの方が明るかったのはこのためです。

どれも凄いってことで

ルーメンの値ばかりに気をとられているとLEDライトの本当の性能は判らないという事です。


最後に『照度』ですが、これは光に照らされた面の明るさを表す単位です。
『光度』や『光束』は能動的な光の量で、『照度』は受動的な光の量と言うことができます。
部屋の明るさを測る『照度計』は割と一般的なので馴染みのある単位なのですが、残念ながら『照度』は今ここの明るさを表すだけで光源であるLEDの強さを表すには不向きです。

照度計その1照度計その2

光というのは空気中で拡散していきますので、光源から離れれば離れるだけ『照度』は低下します。そういった意味では光源との距離を一定にして測れば『照度』でLEDライトの明るさを表す事ができるんじゃないかとも思えますが、結局局地的な明るさを知る事ができるだけで、その『照度』だけでLEDライトの良し悪しを測ることはできません。
『光束』のところでも書きましたが、『光束』を絞ればそれだけ光量が増し、『照度』は高くなります。しかしレーザーのように1点を強力に照らすライトが広い範囲をそれなりに照らすライトに劣っていると言えるでしょうか。
事ほど左様にLEDライトの性能を数字で示すのは難しいという事です。

この3種以外にも『ワット(W)』で明るさを見る向きもありますが、現在ではほとんど使われておりません。

この『ワット』と言うのはおそらく『放射束』、一定時間(単位時間)中に放射されるエネルギー量の単位でして、明るさを表す単位ではありません。
照明の場合そのライトが出すエネルギー量を表します。
しかし注意しないといけないのはそのエネルギー全てが光になる訳ではないと言うこと。
パワーLEDの場合、確かに明るいのですが発熱量も多くなります。光以外に熱エネルギーも出している訳です。
このエネルギーの変換効率も日進月歩ですので、同じワット数のLEDでも明るさが変わってくる訳です。
蛍光灯などでは消費電力としてワット表記をしていますが、エネルギー保存則から考えれば同じような意味になります。

3W級のパワーLED

そう言う訳で現在ではLEDライトにワット表記はほとんどされておりません。

以上、色々とLEDライトの明るさを表す単位を見てきましたが、どの単位にも一長一短があります。
まぁこの辺は家電製品やパソコンなどでも言えることですが、カタログスペックだけで性能を評価することは出来ない、と言うのが結論です。
CPUのクロック数だけでパソコンの性能を判断出来ないのと同じ事で、参考にはなりますが絶対視するのは危険です。
結局店頭で実機を触ってみるのが最も確実で、その予備段階としてWEB上でのレビューを読んだりメーカーページを見て研究するのが良いかと思います。

では次回、もう少しLEDライトの本質に迫る『電池のはなし』をお送りしたいと思います。

<記事:伊東>

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この記事へのコメント

1. Posted by 伊東さんファン   2011年06月23日 12:38
私はLEDライト初心者のころ、知らずに近所のホームセンターで希望の用途に合わないライトを数本買ってしまい、すべて人にあげてしまった経験があります。
今は配光と明るさやランタイムで選べますがフォーカスコントロール付きやコリメーターレンズは周辺に光が少なく近距離使用に難があることを買ってから知りました。
シリコンハウスにあるのは、ほとんどがリフレクタータイプなのでよほど大きく深いリフでなければ近距離(室内も)でも問題ないものが多いと思います。
効率が悪いですけど単三を一本使用するものが大好きです、配光メインだと単四を一本使う小さな浅いリフも捨てがたいです。
スポットの大きさと周辺光の広がりも説明していただくと初心者の人が選びやすくなると思います。
一部ブランドで遠距離照射のスペックにこだわっているのが疑問です。スポット小さく、周辺光なして何なのでしょうか?煙にまかれたときですかね。